リーガルテック展2023 レポート

2023年2月24日(金)に日経ホールにて第8回目のリーガルテック展が開催されました。

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今年のリーガルテック展のメインテーマは、「法務、知財のDX®︎」でした。

リーガルテック展2023開会のご挨拶

プログラムの冒頭にリーガルテック株式会社 代表取締役社長 佐々木 隆仁より、リーガルテック展2023の開会のご挨拶がありました。

世界史的転換点に立つ日本の針路 ― 経済再生の要件

基調講演は、日本総研の会長の寺島実郎先生に「世界史的転換点に立つ日本の針路 ― 経済再生の要件」というタイトルでご講演いただきました。

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寺島 実郎先生のプロフィールは、こちらです。
1947年北海道生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、三井物産入社。
米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産常務執行役員、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授等を歴任し、現在、文部科学省 日中韓大学間交流・連携推進会議委員、同省 グローバル人材育成推進事業プログラム委員会委員、同省 大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業プログラム委員会委員、経済産業省 資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会委員、国土交通省 国土審議会計画推進部会委員、スーパー・メガリージョン構想検討会委員等兼任。
1994年石橋湛山賞受賞。2010年4月早稲田大学名誉博士学位。

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冒頭の挨拶でリーガルテック展の資料を見て、大変、意義のある会だと思って、参画いただいたというお話がありました。
世界はEV自動車や環境、スポーツの世界などでも、常にルール形成の綱引きが行われています。そして、この法務、知財のDXというのも、ルール形成という観点で非常に重要です。現在は、ロシアとウクライナとの戦争により、“力こそ正義”というような19世紀に戻ったような感覚さえあり、分断と対立構造の解釈に流れがちですが、それは時代認識の誤りであり、「デジタルグローバリズム」という大きな潮流に我々は今立っているということに腹をくくるべきだと考えています。
グローバルをにらんでいかに戦略的であるかが、国の経済を決める時代です。二極対立の軸に吸い寄せられてはいけない、とお伝えしたい。
2023年が一つの節目。東京MXテレビ(東京メトロポリタンテレビ)で日曜午前中に出演している「世界を知る力」という番組で1月に使ったのが、このパネル「歴史的転換点に立つ日本」です。

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77年がキーワード。明治維新1945年から2022年までが77年です。そして、2023年を始まりにして、77年を足すと2100年になります。77年周期の先頭に立っているのが今の私たちです。日本という国、20世紀のシステムにのって一定の成功体験を積んだのが90年代の日本。日本のGDPが戦争に敗れて世界のわずか3%だったが、1994年、バブルが弾ける頃は世界の17.9%を占めていた。過去の2008年のリーマンショック以降、日本の埋没、世界の日本のGDPの占める割合は4.1%。
台湾が日本の一つの県だとしたら、台湾が東京を抜いて1位になるかもしれない。一人当たりGDPは台湾に抜かれました。日本経済は、自動車産業の一本足打法と言われているが、台湾は半導体一本足打法だが、世界のセンターラインに出て行っているのは間違いがない。

□世界がどう変化しているのか?
グローバリズムは後退しているのではなく、デジタルグローバリズムが潮流になっていると認識している。
世界の資本主義は30年くらい前に、1989年の冷戦の終焉局面を迎え、このパラダイムシフトで日本はもがいている。17世紀初頭に資本主義が、産業資本主義の潮流が盛り上がった。最初の株式会社が生まれ、オランダの会社が生まれ、資本主義が始まり400年が経過。産業資本主義の潮流の中で工業生産の流れで日本は優等生だったが、冷戦が終了すると共に、ネットワーク情報技術革命が始まった。インターネットの基盤技術は、米国の国防総省、ペンタゴンに委託して東京オリンピック2年前にインターネットの前進のアルパネットが完成していた。
ソ連と冷戦の二極構造で対決するため、情報システムを変える必要があった。中央集権型の情報システムでは一つが攻撃されると破綻してしまうが、分散させておけば大丈夫という考え方。1969年には、アルパネットが完成していた。しかし、1989年がなぜインターネット元年といわれるかというと、軍事技術が民生用に開放していこうという流れが生まれ、1993年、軍事技術の商業ネットワークへの開放され、パラダイムシフトが起こった。
30年前に情報技術革命が起こった。その後、ネットワーク技術を基盤に、GAFAMが生まれていった。冷戦が終わったと共に、資本主義の大きな変化、デジタル資本主義が大きく花開いてきた。これらが、IT革命からDXへの潮流に大きくかかわっている。

□金融資本主義の時代、爆発的な肥大化
ITとFTの結婚という言葉がある。冷戦期の米国の中心的な産業は軍事産業。1980年代は、米国の理工系の7割の大学生が広い意味で軍事産業に雇用吸収されていった。ところが冷戦が終了し、軍事予算が3分の1にカットされ、優秀な理工科系の学生は、金融業界に雇用吸収されていった。産業資本主義の金融の本質は、産業金融。技術と経営と成果を見極めてお金を貸して、利子を得るビジネスモデル。今、ものすごい勢いで金融の世界が変化している。ITとFTは相乗効果を出している。それで、金融工学の世界が発展してきた。ビジネスに伴うリスクは、為替変動や気候変動のリスクが考えられる。1989年以降、ウォールストリート、金融資本主義の規模が大きくなり、産業資本主義、デジタル資本主義、金融資本主義この三角形の真ん中に渦巻きがあると考え、我々がいるのはその場所だと認識するとわかりやすくなってくる。
これからは、テックが重要になっている。イノベーションを生む源、ルール形成のもとを理解すると法務と知財テックを理解することが、世界の潮流に乗っていくためにも重要となる。

ChatGPT登場のAI時代に「法務、知財のDX」を考える

続いて、米国特許弁護士 野口剛史氏とリーガルテック 代表取締役社長 佐々木 隆仁の「トークセッション:ChatGPT登場のAI時代に『法務、知財のDX』を考える」が行われました。

野口 剛史氏のプロフィールはこちらです。
米国特許弁護士(U.S. Patent Attorney)
1983年、東京都生まれ。2002年大学進学のため渡米し、2006年ジョージア工科大学航空宇宙工学学部を卒業。2008年に現地の日系企業で働きながら、米国のPatent Agentの資格を取得。その後も働きながら法科大学に通い、2014年にジョージア州の弁護士資格を取得。現在は、工学と法律の知識を活かし、特許・商標・営業秘密など知的財産に関わる分野で、ジョージア州ただ一人の日本人米国特許弁護士として活躍している。また本業の傍ら、アメリカの知財情報を発信する「Open Legal Community」を運営し、最新のアメリカの動向を日本語で提供している。

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました

株式会社ユーグレナ 代表取締役の出雲充氏が「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。~世界を救うミドリムシの知財~」というテーマで講演されました。

出雲充氏のプロフィールはこちらです。
駒場東邦中・高等学校、東京大学農学部卒業後、2002年東京三菱銀行入行。 2005年株式会社ユーグレナを創業。世界初の微細藻ミドリムシ(学名:ユーグレナ)食用 屋外大量培養に成功。 世界経済フォーラム(ダボス会議)ヤンググローバルリーダー、第一回日本ベンチャー大 賞「内閣総理大臣賞」、第五回日本SDGs大賞「内閣総理大臣賞」受賞。 著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。』(小学館新書)『サステナブルビジ ネス』(PHP研究所) 経団連審議員会副議長・スタートアップ委員長、内閣官房知的財産戦略本部員、新しい資 本主義実現会議スタートアップ育成分科会員、文部科学省起業家教育推進大使、ビル&メ リンダ・ゲイツ財団SDGs Goalkeeper

日本のものづくりによる知財DX戦略

「日本のものづくりによる知財DX戦略」というテーマで加藤会頭とリーガルテック株式会社 代表取締役 佐々木隆仁氏のトークセッションが開催されました。

モノづくり新時代に挑む〜鯖江商工会議所の知財戦略〜

鯖江商工会議所 事務局長 田中 英臣氏が「モノづくり新時代に挑む〜鯖江商工会議所の知財戦略〜」というテーマで講演されました。

法務DX下の法務機能

日清食品ホールディングス執行役員・CLO 本間 正浩先生が「法務DX下の法務機能」というテーマで講演されました。

本間 正浩氏のプロフィールはこちらです。
日清食品ホールディングス執行役員・CLO(チーフ・リーガル・オフィサー)。
日本組織内弁護士協会理事・政策委員会委員長、日弁連業務改革委員会企業内弁護士小委員会座長。
1989年弁護士登録。10年の法律事務所勤務の後、1999年GEエジソン生命保険執行役員・ゼネラル・カウンセル。デル、新生銀行等を経て2013年より現職。
企業内弁護士・企業法務部に関する論考として、
「弁護士業務基本規程51条の実務上の問題点」(「リーガルマーケットの展開と弁護士の職業像」所収)(中央大学出版部、2015)
「組織内弁護士と弁護士の『独立性』」(法律のひろば、2009)
「企業内弁護士と法律事務所の弁護士」(「企業内弁護士」所収)(商事法務、2009)
「営業部の信頼を得る社内コミュニケーション術」(ビジネス法務、2013)
「岐路に立つ企業内弁護士」(座談会、ビジネス法務、2015)
「M&Aを成功に導く法務担当者の役割」(ビジネス法務、2012)ほか。

法務、知財のDXを支える次世代プラットフォーム

AOSデータ株式会社 取締役 志田 大輔氏が「法務、知財のDXを支える次世代プラットフォーム」というテーマで講演されました。

志田 大輔氏のプロフィールはこちらです。
1973年生まれ。1997年東京工業大学工学部卒業、株式会社東芝入社。2000年にAOSテクノロジーズ株式会社入社。2015年にAOSデータ取締役に就任、現在に至る。
AOSグループ全体のCTOとして、グループ全体の技術を統括。AI、ブロックチェーンの基盤となるデータ活用と、プラットフォームの開発に注力。
主な著書
「データテック」(日経BP)、「APIエコノミー」(日経BP)、「MyDataエコノミー」(日経BP)など

法務DXの解像度を上げる

法律事務所 LAB-01 パートナー弁護士 齊藤 友紀氏が「法務DXの解像度を上げる」というテーマで講演されました。

齊藤 友紀氏のプロフィールはこちらです。
弁護士(第二東京弁護士会)。UC Berkeley 大学院(政策)、Purdue大学大学院(経済学)、株式会社メルカリ等を経て、LAB-01を設立。新規事業の開発や、組織体制の構築・整備等の経験を踏まえた、B2Bアライアンス、交渉、契約戦略・スキームの策定、官庁・自治体対応など、新しい事業アイデアの実装やリーガルプランニングを得意としている。

PPAPの生みの親、大泰司氏と語るPPAP対策とDX

AOSデータ株式会社 取締役 志田 大輔氏が「法務、知財のDXを支える次世代プラットフォーム」というテーマで講演されました。

大泰司 章氏のプロフィールはこちらです。
合同会社PPAP総研 代表社員
1992年に三菱電機に入社し、官公庁向けITの営業に従事。
日本電子計算(JIP)を経て、2012年よりJIPDECにてメールやWebサイトのなりすまし対策、電子署名等のトラストサービスの普及や電子契約サービス市場の立ち上げ等、電子取引の普及を行った。
2020年から合同会社PPAP総研を設立し、DXのコンサルタントとして活動中。

知財に求められる ビジネス創出に貢献する力

村田製作所の執行役員 谷野 能孝氏が「知財に求められる ビジネス創出に貢献する力」というテーマで講演されました。

谷野 能孝氏のプロフィールはこちらです。
1988年4月 株式会社村田製作所に入社。
知的財産部、社長秘書、積層コンデンサ企画部で幅広く経験を積む。
2013年6月 経理・財務・企画グループ 企画部の部長を担当。
2018年7月 技術・事業開発本部 新規事業推進部の部長兼ソリューションビジネス推進部の部長を担当。
2019年7月 執行役員 企画管理本部 知的財産部の部長を担当。
2022年7月 執行役員 コーポレート本部 法務・知財統括部 統括部長に就任し、現在に至る。

知財デューデリの意義とその手法

正林国際特許商標事務所 所長・弁理士 正林 真之氏が「知財デューデリの意義とその手法」というテーマで講演されました。

正林 真之氏のプロフィールはこちらです。
1966年生まれ。
1989年東京理科大学理学部応用化学科卒業。
1994年弁理士登録。
1998年正林国際特許事務所(現・正林国際特許商標事務所)設立。
2007年~2011年度及び2018年度及び2019年度日本弁理士会副会長を務める。
また、2010年~2013には年東京理科大学専門職大学院(MIP)客員教授を、現在は東京大学先端科学技術研究センター 知的財産法分野 客員研究員及び東京大学大学院 新領域創成科学研究科 非常勤講師等を務める。
著書は「貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ」(サンライズパブリッシング)、「知的財産法判例教室」(法学書院)、「知的財産法判例教室グローバル版 米欧中韓」(経済産業調査会)、「会社の商標実務入門」(中央経済社)等。

M&Aにおける知財デューデリ効率化のポイント

Tokkyo.Ai株式会社 取締役 平井 智之氏が「M&Aにおける知財デューデリ効率化のポイント」というテーマで講演されました。

平井 智之氏のプロフィールはこちらです。
2018年 立教大学大学院修了後、リーガルテック株式会社に入社。法務部や第三者委員会における不正調査業務、海外訴訟における証拠調査業務に従事。2021年 Tokkyo.Ai株式会社 取締役に就任。

スポンサーブース

会場の入り口では、スポンサー企業様にご出展いただきました。

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プレゼントイベント

来場された方、全員に「梵・特選純米大吟醸」をお土産として、お持ち帰りいただきました。

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また、「ミシュランガイドブックに掲載された「梵 超吟」をかけたゲーム」が開催されました。

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多数のお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。